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職場のうつ 2

職場での就労環境や人間関係がもとでうつになった人々の話を聞いていると、立場が下の人から上位の人に物が言いにくいという社内体質が、社員のうつ発症率にかなり大きく影響しているようだ。

経営者が、たとえば、社内から問題提起があった時に、あからさまに嫌な顔をして何も答えなかったり、「そんなことはそちらで何とかしろ」と高圧的な態度をとるのが当たり前になっていると、次の地位に立つ者は、経営者に対して体裁のいいことしか言えなくなる。

こうした上の態度は、必然的に下位の者へと順送りとなり、結果、あらゆる部署で、上司は部下に対し「今、何か問題はあるか?」と尋ねることすらなくなってしまう。
そして結果的には、誰も本当のことが言えなくなってしまうのである。
もちろん、そんなことをしていると部下が困るのは、誰しも頭のどこかでは分かっている。
しかし、部下の問題提起を聞いてしまえば、自分が責任を持って対処しなくてはならないから、部下の苦悩に対して、見えないふり聞こえないふりを決め込むばかりだ。

しかし、営業にしろ製造部門にしろ、実際の現場では、当然ながらちっとも解決される気配のない問題が山積みとなり、もっとも低い立場の管理職か、悪くすると役職のない平の社員にその責任が集中してしまう。
そこでは、「責任はあるが権限はない」という、まったく奇妙にして悲惨きわまりない状態が生じる。
しかし、もちろんこの「順送りゲーム」は、途中のどこかで止まることもある。
止まる場所はずるいことができないタイプの人、つまり、いわゆるうつ性格の人のところということになる。

こういった事態は、経営者の個人的な性格のために起きる場合も少なくないが、とくに、会社の吸収合併や重要なポストにある人物が交代するなど、ある程度大規模な全社的変動のあった前後から生じる場合が多いようである。
大手の得意先などから天下りしてきた人物が新しい経営者に就任した場合など、社長には「自社」という思いが薄く、とにもかくにも、自分の定年まで大きな問題さえ起きなければいいと思っている。
上に挙げたような現場の悲惨な状況は、得てしてこういった会社で多々起き、「社員は使い捨て」といっても過言ではないような体質となる。

こういった企業の体質とうつ発症の関係には、当然ながらある程度気づいてはいたが、ここのところ、逆に非常に良い体質の企業のことをいくつか耳にし、いっそう確信された。
うつを発症して転職した人の話が多いのだが、その人たちが現在生き生きと働いている企業では、私の知る限り、まずもって例外なく「何か問題があれば、すぐに上司に報告する」といった方針が、言葉だけではなく、社長にいたるまで徹底されている。
さらには、社員の経験不足などによるミスは責めない、といった点も、特徴として挙げられるだろう。

ただし、こういった企業が社員にあくまでも優しいのかといえば、意外とそうでもない。
社員なりに、懸命に職務を果たそうとした中でのミスには寛容だが、普段から手抜きが目立っていたり、自分のミスを部下のせいにしたりするような卑怯な態度に対しては、むしろ厳しい態度がとられる。
つまり、徹底して合理的な厳しさを持っているのである。

うつ性格の人であれば分かると思うが、たしかにこういった企業では、職務の目的もはっきりと見えるし、成果も正しく評価される。
結果的に、生真面目で論理的に物を考える人が優遇され、得をするようにできているので、うつ性格の人は、かえってのびのびとした気持ちになる。
さらには、社内の風通しがよいので、いじめも起こりにくいし、「お局」などの輩が巾をきかすこともない。

数はごく少なくとも、こういった企業が世の中に存在することは、カウンセラーとしても心からほっとするし、最大限の賛辞を送りたい。
ただ、いまだ大企業については、こういったいい話は耳にしたことがない。
創業が古いため労働に対する考え方も古いからなのか、それとも規模の大きすぎる会社では必然的にそうならざるを得ないのか……。

これまで幾度となく述べてきたように、うつを発症しカウンセリングを受けに来られる人々には、矛盾に対して敏感で、ずるいことがしたくてもできない人たちが非常に多い。
しかし、私のこれまでの人生の中で出会ってきたあらゆる人間関係を思い起こしてみても、そこまで生真面目でずるいことのできない人たちの割合は、多く見積もっても1パーセントくらいではないかと思っている。
それが世間一般での、徹底的に生真面目な性格の人々の割合だとすれば、そういったよい体質の企業であっても、生来そういう生真面目な性格の人は、それほど多くはないはずだ。
だが、そういったよい体質の中にあっては、みなが真面目で、他人の痛みが理解できる人々になるのである。

これは、場の性質しだいで、ずるくも生真面目にも、どちらにでもなりうる人々の数が多い、ということなのではないかと思う。
場の体質の重要性というものを、あらためて感じさせられる。

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